BCMによる正確なドライウェイト管理

透析患者さんのドライウェイトの正確さと、寿命には、関連があります。

透析で、体内の余分な水分を除去します。その際、水を何リットル抜くのか? 言い換えれば、透析後に、体重が何kgになっているようにするのか? その目標体重が、ドライウェイトです。

ドライウェイト設定の正確さと、寿命や、良好な血圧コントロールには、関連があることが分かっています。

当院ではドライウェイト設定の指標として、BCMを導入しています。

一般的に、ドライウェイトは、浮腫み、血圧、採血データ、胸部レントゲンなどを指標に決めます。一つ一つの指標は精度が低いため、それらを全部合わせて、総合的に判断して、決めます。必ずしも、理想的なドライウェイトぴったりではなく、ある程度のズレがあります。

そこで、理想的なドライウェイトを、数秒間の測定で当てることができる装置が開発されました。ドイツのフレゼニウス社、BCMという装置です。

この装置の威力を示した論文を、ご紹介します。

この研究は、3つの患者さんの集まりに対して、生存率を調べたものです。

①10時間透析を施行しているタッサン透析センターの患者さん

ドイツのジッセンという街にある透析センターの患者さんで、

②BCMによりドライウェイトが適正と判定された患者さん

③ドライウェイトが高いと判定された患者さん

の3つのグループです。

左が、タッサン透析センターで長時間透析を行っている患者さん。長時間透析では、ゆっくりと水分を除去できるので、正しいドライウェイトに到達しやすくなります。真ん中が、ドライウェイトが適正な、ジッセン透析センターの患者さん。右が、ドライウェイトが高すぎた患者さんです。言うまでも無く、ジッセン透析センターの医師も、正しいドライウェイトを設定するため、十分努力しています。しかし、BCMで測定すると、ドライウェイトが高すぎる患者さんがいることが分かった訳です。

下のグラフで、それぞれの患者さんの生存率を示します。この結果で一番意外なのは、通常の4時間透析のジッセン透析センターの患者さんでも、ドライウェイトが適正なら、頑張って10時間透析しているタッサン透析センターの患者さんと、遜色ない生存率だったことです。一方、BCMで測定したドライウェイトが高すぎる患者さんは、5年後にわずか20%ほどしか生存していなかったのです。この衝撃的データから、ヨーロッパではBCMがドライウェイト決定の主要な指標になりました。

BCMを持っている透析センターは、日本では、あまりありません。当院に通院中でなくても、ご利用頂けます。測定だけでも、されてみてはいかがでしょうか。